akkiy’s 備忘録

主にインスタで載せ切れなかった読書記録とか。

【読書記録】「阿Q正伝・狂人日記 他十二篇-吶喊」(著:魯迅) メモ全文

インスタの方で載せ切れなかった「阿Q正伝狂人日記 他十二篇-吶喊」(著:魯迅のメモなど。

 

 

以下、印象に残った箇所やメモなど。

 

 

「自序」より

後になって考えたことは、すべて提唱というものは、賛成されれば前進をうながすし、反対されれば奮闘をうながすのである。ところが、見知らぬ人々の間で叫んでみても、相手に反応がない場合、賛成でもなければ反対でもない場合、あたかも涯しれぬ荒野にたったひとりで立っているようなもので、身のおきどころがない。これは何と悲しいことであろう。そこで私は、自分の感じたものを寂寞と名づけた。

 

 

「孔乙己」の訳注より

酒。中国の酒は、醸造酒である黄酒(原料は米または黍で、山東や福建にも産するが、江南では紹興が特産地の紹興酒が有名。これは糯米と麦麴で作る。年代ものを尊ぶため老酒ともいう。日本では老酒の名が通用する)と、蒸留酒である白酒(原料は米または高粱など雑穀、白干または焼酒ともよび、全国各地に産する)と、白酒をベースに薬草などで加工したものに三大別される(ワインやビールは除いて)。黄酒はアルコール分二〇度以下、白酒は四〇度以上ある。

 

 

「明日」より

単四子は胸で思案した。お札もいただいたし、願もかけたし、買い薬ものませた。これで効き目がないとすれば、どうしたものだろうあとは何小仙に診てもらうほかない。でも宝児は、夜だけ容態が悪くなるのかもしれない。あしたになって、日がのぼれば、熱が引いて、喘ぎもとまるかもしれない。病人にはありがちなことだから。

単四子は無智な女ゆえ、この「でも」のおそろしさを知らない。むろん多くの悪いことが、そのお蔭でよくなることもあるが、多くのよいことが、そのお蔭で悪くなる。

 

 

「小さな出来事」より

このときふと異様な感じが私をとらえた。埃まみれの車夫のうしろ姿が、急に大きくなった。しかも去るにしたがってますます大きくなり、仰がなければ見えないくらいになった。しかもかれは、私にとって一種の威圧めいたものに次第に変っていった。そしてついに、防寒服に隠されている私の「卑小」をしぼり出さんばかりになった。

 

 

「故郷」より

私は身ぶるいしたらしかった。悲しむべき厚い壁が、ふたりの間を距ててしまったのを感じた。私は口がきけなかった。

 

 

古い家はますます遠くなり、故郷の山や水もますます遠くなる。だが名残り惜しい気はしない。自分のまわりに眼に見えぬ高い壁があって、そのなかに自分だけ取り残されたように、気がめいるだけである。西瓜畑の銀の首輪の小英雄のおもかげは、もとは鮮明このうえなかったのが、今では急にぼんやりしてしまった。これもたまらなく悲しい。

 

 

思うに希望とは、もともとあるものともいえぬし、ないものともいえない。それは地上の道のようなものである。もともと地上には道はない。歩く人が多くなれば、それが道になるのだ。