akkiy’s 備忘録

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【国家公務員試験 総合職<教養区分>】 独学「ギリギリ」合格ルポエッセイ 1次試験編

はじめに この記事を書く目的

 私は2022年の秋にあった国家公務員総合職の教養区分の試験を受け、最終合格した。それも下から数えてすぐの順位、あと少しで落ちるギリギリの点数で。

 それでも私は予備校にも行かず独学で、また共に受ける仲間もいない完全にぼっちの状態で合格することができた。我ながら良くやったと思っている。

 この教養区分試験(正式には「国家公務員採用総合職試験(大卒程度試験)教養区分」)は受験資格を満たしているのであれば誰にでも開かれた試験である。しかし、試験に関する情報は少ないし、そもそも残念ながら受験者間で大きな情報格差が生じている。合格のためのノウハウは東大や京大などの官僚養成学校にいる受験者、合格者の間に偏在してしまっているといっても過言ではなく、逆に周りに志望者がいないと結構不利な状況に置かれることになる。予備校に行くという事も一つの手ではあるものの、コスパはかなり悪いことは確かだ。ネットで仕方なく調べるにしても有料記事が目立つ。

 このような格差のある現実に少し義憤を覚え、この教養区分試験を真の意味で「誰にでも開かれた」試験に少しでもしていくために何か記事を書こうと思い立った次第である。

 

 ここでは教養区分試験の時の体験をちょっとしたルポエッセイとして書き残しておきたいと思う。教養区分試験の雰囲気や空気感が少しでも伝わるならば幸いだ。

 

 具体的な試験対策に関しては文章末尾の「教養区分合格のヒント」か別に書いた記事を参照していただきたい。

 

目次

 

受験のきっかけ

 私が教養区分試験を受けたきっかけは率直に言うと「就活のすべり止め」を得るためであった。できるならば民間就職したいが、それがダメだった時の保険として受けておくかという軽い動機で受験した。(本気で目指している人には申し訳ないが…)

 

1次試験

対策など

 1次試験の対策として、高校の日本史・世界史の復習と過去問演習を行った。

しかし、確固たる熱意も無い状況だったので勉強にもあまり打ち込めなかった。10月のはじめにある試験に向けて7月に入った段階で勉強計画を立てても、7月末の出願開始後にようやく高校の歴史の教科書を引っ張り出してダラダラと読み始めた。

 8月下旬になってようやく過去問を解き始めたものの、数的処理の問題が全くと言っていいほどできない。

 1次試験には文章理解、判断・数的推理、資料解釈からなる知能分野と、日本史や世界史、数学、物理、化学、時事など、幅広い分野の知識・教養を問う知識分野の2種類の試験があり、前者の方が配点として高くなっている。配点の比率として知能1問:知識1問=3:2である。

 そのため知能分野で出来るだけ点数を稼がなければならないのだが、私は数的推理の問題を苦手としていた。5分くらいで解くべき問題も30分しても良く分からないのである。これでやる気が湧かなかったのもあり、平均して毎日3時間ほどしか勉強できなかった。(本来ならばもっとやるべきなのだろう…)

知識分野はほどほどにできたものの(それでも文系の私にとって理系分野の問題は捨てていたが)、知能分野は半ば諦めのモードになりつつ、そんなこんなで9月も過ぎて、10月2日の1次試験本番を迎えた。都内在住の私は東京の試験地である東京外国語大学府中キャンパスへ行った。

 

当日

 1次試験は午前が2次試験で審査される論文を書く総合論文試験で、午後が1次試験の知能分野の部と知識分野の部がある基礎能力試験(多肢選択式)となっている。

 つまり1次試験では午後の基礎能力試験のみが採点対象となり、その足切りをクリアできれば午前の論文が2次で審査されるのである。逆に言えば足切りにかかると午前中に一生懸命書いた論文は審査すらされないという結構シビアなシステムである。

 

総合論文試験

 さて午前中の論文試験が始まった。問題は2問あった。

 1問目はA4で4ページ半に及ぶ3つの資料(うち1つは英文)を踏まえて、実際の政策の立案・決定においてディレンマをどう扱うべきかを具体的な政策を挙げながら論じる問題。

 2問目はウクライナ侵攻に関連したもので、世界情勢の変化により日本に生じる課題で最優先に対応するべきものを挙げ、最優先である理由を答え、その課題の具体的な対応策を論じる問題。

 中々難しい問題設定である。これらをA3ほどの答案用紙の表裏に4時間で書き終えねばならない。

 前年の問題を大学ノート2ページにさらっと殴り書きしたくらいしか対策をしていなかった私は無い頭をフル回転させて資料を読み始め、要点に印をつけていった。その後、問われたことにしっかり答えるような全体の筋道を何とか描いて、主語と主張、理由、結論を明確にする分かりやすい文章構成をかろうじて意識しながら、あとはただ必死で書きに書いた。

 時間配分は当然として、体力も意識しなければならない重要な項目である。4時間という制限は、速い作業が苦手な私のような鈍間でもおそらくある程度余裕をもってクリアできる長さではある。しかし午後のこれまた過酷な基礎能力試験に向けて労力を上手く調整し、時には早めに切り上げて体力を温存しなければなければならない。

 長丁場なのでトイレ休憩は開始直後もしくは終了直前でない限り自由に取れる。

 そして私は当たり障りのない答案を30分ほど残して何とか書き上げた。結構それらしいことは書けた。しかしこの労作も午後の試験がダメなら水泡に帰すと思うと恐ろしかったりいたたまれなかったりと複雑な気持ちだ。

 

 昼休みはたったの40分と意外と短い。私は教室を出て、建物の吹き抜け部分にあったソファーで持参した昼食を食べ、意外と高さのある講義棟の吹き抜けを仰ぎつつしばし寛いだ。ここの東京外大には初めて来たが、小ぎれいで意外と壮観な建物である。外は緑もそれなりに多く、都心部の緑地の無いキャンパスに学ぶ私にとっては少し羨ましい。

 

基礎能力試験

 休憩時間もあっという間に終わり、午後の基礎能力試験が始まった。

 まずは第1部・知能分野の部(制限時間2時間)である。文章理解の問題を先に済ませ、資料解釈も解法がよく分からなかったものの終わらせて、鬼門とする数的推理に取り掛かった。自分はついつい考え込んでしまってそれで時間を使ってしまう癖があるので、できるだけ早く理解し解くという心構えで臨んだが、案の定、問題文を読んでも理解ができず答えを導けない状態に陥ってしまった。

 何とか理解したところで目標とする5分を大きく超えてしまっていたので、一層のこと開き直って、とりあえず答えを出してみてそれが確証がない状態でも多分正解だろうというスタンスで解いていくことにした。それでも時間はどんどん過ぎていき、もう十数秒で終わるという状況になったので、後は諦めてマークシートを勘で適当に塗りつぶして終えた。

 

 10分の小休憩を経て第2部・知識分野の部(制限時間1時間30分)が始まった。こちらは5つの選択肢から最も妥当なものを1つ選ぶ問題である。分野こそ広いものの、不正解の4つの選択肢には不適切な記述がどこかしらにあるので、それを探し出せばよい。理系科目は流石に全ては分からなかったものの、その他の問題は何となくこれが正解だろうというものが分かったので、そこまで時間は掛からずに済んだ。

 

 ようやく知識分野の部も終わり、1次試験を終えた。時計は既に18時を回り、辺りはだいぶ暗くなっていた。手ごたえはよく分からないまま、重い疲労感を覚えながら帰路に就いた。

 

 さて、1次試験の合格発表は中旬の終わりごろにあるが、基礎能力試験の選択肢の正解が試験翌日から公表されることになっていた。私は早速自己採点をしてみた。第1部の知能分野は24問中13問正解、第2部の知識分野は30問中19問正解だった。

 目標は知能を最低でも16問正解、知識は知能が伸びないのを見越して20問以上の正解としていた。しかし数的推理がやはりできず知能分野の点数が伸びなかった。知識分野はまずまずだが、知能の不足分を埋めるには足りない。

 この結果を受けて、私は1次通過にギリギリ届かないなと思った。ネットの情報をあさり知能16問正解でギリギリ通っている例があるらしかったが、さすがに13問正解で通った例は見当たらなかった。ただ自分としては全力は出せたのでまあ良いかという気持ちにはなった。

 

結果

 1次合格発表の日。授業中ではあったが、私は一抹の期待を胸にスマホで合格発表の番号を辿っていった。

 すると、自分の受験番号が載っているではないか。

 まさとは思い、何度か確かめたが、自分の番号である。どうやら1次試験を通過したらしい。私は11月下旬の2次試験に臨むことになった。

 

(続きは「2次試験&合格のヒント編」へ↓)

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